こんにちは。

 

サッカーJ1の名古屋グランパスが13戦勝ちなしと苦しい状況に陥っていますね。

 

5月21日時点で2勝3分10敗の最下位。

 

かつて、 常勝川崎フロンターレを作り、昨年はJ2に降格した名古屋グランパスをJ1へと復帰させた名将・風間八宏監督がこれほど辛酸を舐めようとは誰が予測したでしょうか。

 

人と組織を作り上げるプロをもってしても勝てない事もあるわけですから、勝負とは無情なものですね。

 

ちなみに、今シーズンJ1に復帰した名古屋グランパスが勝てないのには、私はそれ相応の理由があると考えています。

 

今日は、その理由とは何かを考察していきたいと思っています。

 

そもそも、風間監督といえば「超個の教科書」という本を出しているくらい、個の実力を重要視しています。

 

〝組織的なプレーこそが日本人の得意とする戦い方である〟という日本人特有の価値観が一般化しているスポーツ界で、風間監督はその様な常識に囚われない方法によってこれまでいくつもの結果を出してきました。(組織としての決まり事にこだわり過ぎずに個の長所を活かしていく考え方です。)

 

数年前の川崎フロンターレでは、タイトルをいくつも獲得し、毎年優勝争いに絡むほどの黄金時代を作り上げていますし、また、昨年はJ2に沈んだ名古屋グランパスをたった1年でJ1に復帰させてみせました。

 

では、なぜ今シーズンは全く風間イズムが結果を出せないのでしょうか?

 

それは、私がコーチング的な視点で察するに、選手全体における共通のゲシュタルトが無いからだと思われます。

 

簡単にいうと、チームとしての“臨場感高くイメージしているゴール”が無いということです。

 

もっと簡単にいうと、本気で優勝を狙っていない。タイトルを狙っていないという事です。(意識ではなく、無意識がです。誤解無きよう。)

 

実は、チームというものはゲシュタルトですから、どういうゴールを設定するかによって個のパフォーマンスが大きく変わるのです。

 

ちなみにゲシュタルトとは何かと言うと、「部分の総和としては捉えられない合体構造に備わっている特有の全体的構造」の事です。

 

例えば「マ」という字と「田」という字と「力」という字があります。

 

一見どの字も関係性や類似性は見てとれませんが、合体すると「勇」という全体構造になりますね。

 

この様な特有の全体構造の事をゲシュタルトと言うのです。

 

故に、「俺たちは国内タイトルをとってACLも制覇するぞ!」という目標(=ゲシュタルト)を持つチームは、個々の選手のスペックが劣っていようとも目標相応の力を発揮します。

 

逆に「今シーズンは、最低でも昨シーズンの様に降格してしまわない様に頑張ろう」という程度の目標だったら、どんなにお金をかけて素晴らしい選手を補強してもさほど力を発揮する事は出来ないのです。

 

(ACLを制覇出来るかもしれない人材を揃えながら、降格圏の戦いをすることになるという事です。)

 

ですから、(もし、大きな共通の目標を持てていないというこの考察があっていれば)勝てないのは当たり前という事なのです。

 

風間監督の個を重要視する考え方は決して悪くないのですが、実は今シーズンの名古屋グランパスに関してはチームとしてのゴール設定(ゲシュタルト)が小さいが故に、個の実力も落ちてしまっている可能性があります。

 

(もしくは、設定ゴールは大きくても、選手がそのゴールを高い臨場感を持ってイメージ出来ていない可能性があります。)

 

コーチングの大家ルー・タイスの言葉を借りれば

 

「まずはゴール側のゲシュタルトありき、個の実力はあと(ゴール次第)」

 

という事なのです。

 

きっと川崎フロンターレの時は、選手たちがACL制覇レベルのゴールを臨場感を持って取り組む事が出来ていたのでしょう。

 

ですから個の実力も高かったはずです。

 

昨年の名古屋グランパスのJ2降格の時も、悔しいが故に「絶対に1年でJ1に昇格するぞ!」という目標が臨場感高く持てていたのでしょう。

 

だから、ものすごい個の実力を発揮していたはずです。

 

この様に、風間イズムを選手たちがピッチの上で個の実力を十二分に発揮するためには、兎にも角にも大前提として「大きなゴールを臨場感高くイメージすること」(=ゴール側のゲシュタルトを作る)が大事です。

 

それさえ出来れば、風間監督の超個のサッカーはものすごい威力を発揮することでしょう。

 

今からでも十分に間に合うので、選手たちにはアファメーションやビジュアラゼーションを用いて脳内により大きなゴール設定をし直して欲しいと思います。(風間監督の続投はフロントから発表されています)

 

ちなみにですが、本田圭佑選手も「W杯に向けて、もっと個の実力を上げる必要がある」と仰っていますよね。

 

ここまで文章を読んでくださったあなたならもうお分かりだと思いますが、本田圭佑選手は決して個の実力を上げればチームが強くなるという思いでこの言葉を発しているのではありません。

 

彼自身が「W杯優勝」を公言している様に、大きなゴール設定があるが故の結果として「チームメンバー全員の個の実力を上げる事が大事」だと感じているのです。

 

(まあ、代表メンバーに「お前ら、予選通過とか甘っちょろい目標で満足しないで本気でW杯優勝目指せよ!じゃないと個の実力は上がんないぞ!」と暗に訴えているわけですね。)

 

という事で、強くなるための秘訣は個の足し算ではなく、ゴール側の大きなゲシュタルトをしっかりと脳に設定できるかどうかであるという事を押さえておいて下さい!