こんにちは。

 

苫米地式コーチング認定コーチの大西です。

 

レスリングの吉田沙保里選手ですが、いよいよ選手兼コーチとして新たな道を歩まれましたね。「私を倒す選手を育てる!」という大きな目標を掲げてのことだそうです。とても素晴らしい挑戦だと思います。

 

ちなみに、スポーツにおけるコーチとは我々のコーチとは若干ニュアンスが異なっていて、どちらかというと技術指導という意味合いが強いです。私たちマインドを扱うコーチは基本的にアドバイスは一切しませんのでアプローチの仕方が全く異なるのですが、目標へと導いていくという点においては同じ志を持っていると思います。(※我々コーチはあくまでマインドの使い方をお伝えしています。)

 

なぜ、今回私が吉田沙保里選手がコーチとして新しく挑戦することをブログのテーマに選んだのかというと、本人にとってはそれが飛躍的な可能性への挑戦であるとともに、周りの選手にとってもかなり大きな意味合いを持つと確信したからです。そして、このブログを読んで下さっている皆様にも新しいことに挑戦する事がどれほど可能性に満ちているか”を吉田沙保里選手を通して知って頂きたいと思ったからです。

 

では、その新たな挑戦にどの様な可能性が秘められているのかを、大きく3つに絞って具体的に説明してまいりましょう。

 

まず1つ目として「あえてコーチという立場に立つことによって強力なモチベーションを得られる」という事が挙げられます。

 

吉田沙保里選手には “リオでの前人未到の五輪4連覇” そして “東京での5連覇” というゴールを掲げて東京オリンピックに挑戦したいという思いがあったのでしょうが、残念ながらそれが出来なくなってしまいました。アテネから始まった絶対女王の座が12年目を前にして途切れてしまったわけですが、12年、そして16年と記録更新を目指していた目標が叶わなくなった時にまた1からというのはなかなかモチベーションが上がるものではありません。

 

そこに来て、このコーチ就任はそれに匹敵するほどのモチベーションとなり得るのです。なぜなら、自分だけでなく他の階級の選手が金メダルを獲れるかどうかも吉田沙保里選手の手腕にかかってくるからです。

 

東京での“個人金メダル” のみのゴールであれば、過去に3回経験しているが故にさほどモチベーションが上がらなくても、“吉田沙保里選手の指導によって全階級制覇!”となれば難易度も格段に上がり「5連覇」級のモチベーションを出せる事が十分に期待できます。

 

そういう意味で、コーチ就任は非常に意味のあるチャレンジなのです。

 

2つ目に「他人に“コーチングする”という行為が自分自身を内観させ、自分の中にあるスコトマ(盲点)に気付ける」ということが挙げられます。

 

今まで選手として勝つ事に専念してきたことと思いますが、コーチの立場に立つということは、ただ自分だけのフィジカルが向上し、技術を体得し、パフォーマンスが向上すれば良いというわけではなくなってきます

 

選手たちに何か一つ言葉をかけるにしても一言二言のヒントで伝わるのなら簡単でいいですが、物理的体感(技やコツの伝授)というものは吉田沙保里選手と同じものは少なくともその時点では周りの選手には無いわけですから、自分と相手との両方をしっかりと理解した上で伝えていかなければならなくなります。

 

そうなった時に、感覚という抽象的なものを言語化する為に自分の身体に対して必ず内観する事をしなければいけなくなってきます。つまり、今までは無意識に処理できていたものをあえて意識に上げて客観的に観るという作業が必要になってくるのです。

 

コーチという立場上、四六時中自分自身に対して内省を施し、客観的に見る癖がつくようになりますから、周りの選手を育てながらも自分自身の身体に対して今まで見えていなかったスコトマがどんどん外れて新しい発見が出来るようになっていきます。

 

自分自身の中に新しい発見があるという事は、そこから自分自身を向上させていくための明確な道筋が見えてくるという事になるのです。

 

そして3つ目は「コーチという“関係性”を選手達と結ぶことによって、周りの選手が圧倒的に飛躍する」ということです。

 

指導をするんだからそんなの当たり前でしょう⁉︎と思われますよね。確かにそうなんですが、“関係性”を結ぶという事には実は深い意味合いがあるのです。

 

かつて2600年前に釈迦は「縁起の思想」を説きました。その縁起の思想とは、“宇宙とは関係性によって成り立つ”というものです。関係性とは役割りのことであり、関係性を持つことによってその対象が存在するという意味です。

 

吉田選手がコーチという役割りによって周りの選手との間に「私を倒す選手を育てる!」という関係性を築くということは、それは裏を返せば、周りの選手は「吉田選手を倒す選手になる!」という関係性を結んだということになるのです。

 

「私を倒す選手を育てる!」という言葉からもわかるように、吉田選手は自分こそ世界一の選手であるというエフィカシー(自己能力肯定感)の高さを自覚しているわけですから、関係性を結ぶ相手は更にそれを凌駕するエフィカシーを作り上げることを約束させられたも同然です。

 

実質的に世界一の選手であり、世界一のエフィカシーを持つ吉田沙保里選手の臨場感空間に入れば、吉田沙保里選手を中心としたハイパーラポール(心理学における強い信頼関係のこと)が起こる事は容易に想像できる事ですから、フィジカル的な部分だけでなく、あらゆる面において周りの選手が引っ張り上げられていくのは必然的な事なのです。

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そういう意味でも、2020年東京オリンピックに向けた女子レスリングの新たなる船出というものは非常に輝かしいものだと言えます。

 

世界一という臨場感空間の中で吉田沙保里選手と多くの選手が飛躍していくことがとても楽しみでなりません!